2007年08月28日

第51回欧州選手権戦(オーストリア・フィラッハ)

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 ▲フィラハの町から見た山々の景色
 ▲欧州選手権の会場、コングレスセンター
 ▲子供に指導をしている最中の筆者
▲大会の受賞者達
▲梅津至大使と日本から参加の少年達
 
 2007年7月14日-28日まで第51回欧州選手権戦がオーストリアの南のフィラッハで開催されました。開会式にはウィーンから梅津至日本大使も挨拶に来て下さりました。

大会には、それぞれのトーナメントに延べ700名以上が参加し日本からも70名以上が参加されていました。

今年の中欧州は暑く当地でも毎日30-35度の灼熱の夏でした。

 山々に囲まれた高地である為に夕方は涼しくなる日もありましたが、対局後に近場の湖で泳ぐプレイヤーも沢山いました。

 プロ棋士は日本から中山典之六段と筆者。昨年からドイツに住む韓国女流棋士2名とオランダに住む元中国女流棋士が指導、指導側も国際的です。

 それでも参加者が多い為に先生が足りないのでしょう。私は大会開始の10時から夜の8時くらいまで次から次へと自分の碁を見て欲しいプレイヤー達に囲まれていました。

 そして大会の入賞者は韓国の若手達に続き、韓国で勉強した西洋のプレイヤー、そして日本で院生経験したプレイヤー達が上位を占めました。

 今や欧州でも並みのアマチュア5、6段ではトップの仲間入りすら出来ないほどレベルが上がりました。

そして10代のプレイヤーが各国で増えていますが、どこの国も、その若者を教える先生不足のようです。ほとんどのプレイヤーはネットで碁を打ち、少し本で勉強程度。

 この多くの若者達がこれから、どのように育っていくのか楽しみであると共に、碁を学べる環境を作りたいと願う気持ちが、ますます高まりました。

 それと共に、日本で碁を学び育った私としては、碁から学んだマナー、エチケット、心構え、、、『棋道』の貴重さを心に重く感じた日々になりました。

 

2007年07月13日

世界中どこでも学校で囲碁普及

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 ▲スイスのインターナショナルスクールの囲碁部
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 ▲昨年のハンス・ピーチ・メモリアル・トーナメント
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 ▲シューベルトも学んだ学校の囲碁部
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▲同上の学校の講堂
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▲マリア・テレジアゆかりの学校の外観
 
一番、最初に海外の学校で囲碁の紹介の経験をさせて頂いたのが26年前のオーストラリアの日本語を学ぶ中学生の日本語のクラスでした。日本語を学びながら、碁も学ぶと言う趣向です。

『碁』と言う漢字の中に生徒が学んだ漢字『石』を見つけて喜ばれた記憶があります。
それから、フランス、スイス、シンガポールなどの学校で碁の紹介、指導をしてきましたが、この度、教え始めたウイーンの学校は『さすがウィーン!』と感心させられています。

まずマリア・テレジアゆかりの私立学校。

階段を上るとマリア・テレジアの肖像画、美術館並みの図書館があります。そして校庭は広大、それもそうです、ハプスブルグ家の離宮だったのですから。。。
そして、欧州の学校の年度末、6月末に碁の紹介をしたところ、『ぜひ新学期から本格的に』と、頼まれました。

もう一つは、あのシューベルトが学んでいた由緒ある学校。

建物も元教会を学校にしたもので、レンガ造りの蔦で覆われた古いものです。

昨年度にオーストリア囲碁協会が全生徒に碁の説明に行きました。

その後、私の押しかけ囲碁講座を打診したところ、もっと碁を学びたい生徒が30名ほど集まりました。

すでに棋力は10級前後が数名出てきました。

『生徒たちから、先生又来年も!』と言われているので、先生方も『ナイン』とは言えないでしょう。

今年の春まで滞在していたスイスの学校の囲碁部、ハンス・ピーチ・メモリアル・トーナメント大会(各学校3名のチーム大会)で盛んになっているドイツの学校、今や、欧州の囲碁のリーダー格のフランスのユース大会、そして音楽教育の本場であるオーストリア。 徐々に碁の低年齢化の普及が広がってきています。

この輪を世界に広めていくのは、とても楽しく夢があります。

碁を通じて、子供たちが世界に友達が出来ることを経験してもらえれば本当に嬉しいです。

世界小・中・高校選手権戦ができる日を夢見ています。(世界の大学生の大会はすでに行われています)

 

2007年06月16日

大使館の広報センターの囲碁教室&第51回欧州選手権戦

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 ▼写真は全てウィーン広報センター(大使館内)の囲碁講座
今回の普及は文化庁の指名の元で活動できる為、欧州の大使館、総領事館の協力を得られます。  

今までにフランスパリのパリ日本文化会館で毎週土曜日午後の囲碁講座、スイスジュネーブでは総領事館で毎週月曜日夜の囲碁講座を興してきました。

日本と違い、碁会所がない欧米で、初心者、女性、子供が碁を学べる場所がない為に、日本文化の窓口である大使館・総領事館のパブリックスペースを利用させて頂いています。  

ウィーンでも早速その囲碁講座開設となりました。

大使館のサイトを見て集まった人だけで定員40名が毎週一杯になる大盛況ぶりです。毎回、来る人は少しずつ入れ替わるのですが回を重ねる度に若い青少年が増えてきているようです。  

こちらでは6月末が学校の年度末です。どこの講座も6月末で終了になります。年度の初めは9月初めですが、この様子だと『子供教室』開催も可能になってきました。嬉しい限りです。  

この講座を初め他のすべての囲碁普及、活動はオーストリア囲碁協会の全面的な協力を得ています。  

盤石の提供、移動、インストラクターなど。

今まで色々な国で囲碁普及をしてきましたが、これほどチームワークがよい囲碁協会を見たことがありません。

一つには7月14日?28日に開催される、第51回欧州選手権戦がオーストリアの南の古都フィラッハで開催される為、役員を初め多くのプレイヤー達がボランティアでフル回転しているときだという事情もあります。  

予想では過去最高の1000名に達する、欧米で一番大きな大会になりそうです。日本からもすでに70名を超える申し込みがきています。  

大会は1日だけの参加からウィークエンドトーナメントなど様々な参加が可能です。  

今からでも、まだまだ申し込めますので、ぜひ皆さんもウイーン、ザルツブルグ、東欧の旅行なども兼ねて『世界の囲碁の祭典』に参加してください。  欧州選手権戦の会場でお会いできることを楽しみにしてます!  

(申し込み方法 http://www.goverband.at/egc2007/)  


2007年06月13日

文化庁文化交流使としての囲碁普及・ウイーン

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 ▲由緒ある時計
(以下すべてウィーン市内風景)
 ▲テレビ取材
 ▲ニューイヤーコンサートでおなじみの楽友協会
▲親子で入門
▲若手プレイヤー達
2007年3月より文化庁から『文化庁文化交流使』(英語のタイトルSpecial Advisor for Cultural Exchange)の指名を受けて、オーストリアのウィーンを拠点に欧州の囲碁普及の真最中です。   

まず最初に拠点がウィーンになった理由をお伝えしましょう。 この10年間フランス・パリとフランス語圏のスイス・ジュネーブを拠点に囲碁普及をしてきました。ちょうど良い波に乗ったようで、フランス、ジュネーブ界隈では『碁熱』がかなり広がりました。  

その熱が、そろそろドイツ語圏にも波及するころかと思い、昨年辺りから、ドイツ、オーストリアの囲碁事情を調べておりました。

ドイツでは、昨年から韓国の女流棋士が移り住み本格的な囲碁指導を始めていました。 そしてウィーンでは、若手の囲碁普及を2年前から本格的に始めていたのですが、指導者がいなくて困っている状況でした。それと、今年の欧州囲碁選手権戦はオーストリアの南の古都フィラッハです。   

その状況に文化庁からの『文化交流使』の指名が重なったのです。 二つ返事でこの役を受けさせて頂きました。 オーストリア囲碁協会の『1日も早く来て欲しい』の意向に添うように、2月半ばにジュネーブの家を引き払い、一度、東京に帰り3月にウィーンに入りました。   

かなり厳しい日程でウィーンに入ったのですが、オーストリア囲碁協会の方々の嬉しい顔、若手プレイヤーの熱心な様子に私の旅の疲れも癒されました。   

囲碁指導の為のプロジェクトの話し合い、欧州選手権戦の為の話し合い。 役員との信頼関係を築き、プレイヤー達の棋力を知り、囲碁クラブの状況を把握し、そしてウィーンの街を電車、地下鉄で自由自在に動き回れるようになるまでには、2、3ヶ月の月日が必要でした。  
 
その間、ドイツ、スイス、スコットランド、オーストリア国内のほかの都市にも出かけて行きましたので、ここまでは、本当に忙しい日々でした。   

それと、海外生活に慣れている私とは言え、新しい国で新しい住まいを探し落ち着くまでには、かなりの時間とエネルギーが必要なものです。    

ウィーンで開催された16年前の欧州選手権戦を初め、個人的に何回も訪れていたウィーンですが、いざ暮らすとなると、全く違う街になりました。   

古都・ウィーンを訪れる日本人観光客は年間50万人と聞きます。   

世界を制覇したハプスブルグ家の歴史的建物の多くは町の中心にあるので、観光客もそこに集中します。   

趣のある街中を馬車が観光客を乗せて闊歩しています。 そしてウィーンと言えば、音楽にウィーンナーワルツ!   

長い文化の歴史を誇るウィーン人に日本の文化の一つとして碁を紹介し、教えるのが、今回の私のチャレンジです。

またウィーンは国連もある国際都市で東欧の入り口でもあります。 大きなチャレンジをしていることに日々気づかされています。