山下敬吾、棋聖に返り咲く <第30期棋聖戦七番勝負> (2月)

 

 羽根直樹棋聖(当時)にタイトルを奪われてから2年。

 「借りを返したい」山下敬吾九段は挑戦者に決まった直後のインタビューでこう語った。

 開幕はドイツのベルリン。「ガマンの結果、逆転できたのが大きかった」と山下は振り返った。

 一方、羽根棋聖は黒星スタートの影響か、2局目は内容でも山下に押される。しかし、精神的な強さはこれまでに証明済み。続く第3局、羽根はシリーズ1番の難戦で白星を手にしかけていた――が結果に結びつかない。

 結果、山下の3連勝。

 棋聖を追い詰めての第4局――1日目、序盤で新型ができて、わずかに山下がリードする。2日目に入り、遅れを取り戻そうと、羽根は封じ手後の右辺打ち込みから積極策へでた。手厚い山下の構えに挑んで勝機を見いだしにいくが、羽根の足取りは重い。山下ペースに変わることなく、夕刻前には形勢がはっきりした。

 終局は18時28分。ついに山下がタイトル奪還を果たした。



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