万波、女流棋聖に返り咲く <第9期女流棋聖戦三番勝負> (2月)

 

 3年連続の同一カード。知念かおり女流棋聖と万波佳奈三段の女流棋聖戦三番勝負は、万波が2勝1敗でタイトルを奪還した。

 あの「涙の失冠」から、ちょうど1年である。

  勝負の世界において、喜怒哀楽をストレートに表現することが、必ずしも称賛に値するとは言い切れないが、昨年の挑戦手合で2連敗を喫して知念にタイトルを奪われた時に万波が思わず涙したシーンは、実に新鮮な感動を与えてくれた。

 果たして今の碁界で、対局に負けて泣ける棋士がどれだけいるだろうか? その涙を拭うため、報われるかどうかも分からない努力を日々続けられる棋士がどれだけいるだろうか? 万波のあの涙が、その場限りのものでなかったことは、すぐさまリターンマッチの挑戦権を勝ち取り、こうして三番勝負を戦っている事実が、何よりも雄弁に証明している。

 現在の女流碁界は、四冠の保持者がすべて異なる戦国時代。その統一を期待することはもちろんだが、彼女にはそれ以上の“男性棋士に伍して頂点を争うスーパーヒロイン”を志してもらいたい。



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