数年前に女流プロは世代交代の波が押し寄せ、次々とニューヒロインが誕生し、戦国時代の感があった。そして若手女流プロの実力は年々高まり、いまや有力な若手グループの一角を堂々と占めているが、その中心にいるのが小林泉美女流3冠(女流本因坊・女流名人・女流早碁)だ。小林女流3冠は、女流棋戦だけでなく一般棋戦でも好成績を残し、ここ数年、茶の間の囲碁ファンを釘付けにするNHK杯での見事な戦いぶりで証明されている。
一方、挑戦者に名乗り出たのが知念かおり元女流本因坊で、女流プロきっての豪腕を誇る実力者である。子育てをしながらタイトルマッチを争ったのが話題になったのは記憶に新しい。ママさんプロの強さを囲碁ファンに知らしめたものである。小林女流本因坊の4連覇阻止にふさわしい挑戦者といえよう。
女流本因坊のタイトル経験はそれぞれ3回、そして、ともに夫君はプロ棋士という共通項を持つ両者だが、小林女流本因坊の読みの鋭さに対して知念挑戦者の力強さ。棋風は実に対照的だ。知念挑戦者が小林女流本因坊の勢いを止めるかどうか、女流碁界の頂上決戦に興味は尽きない。
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