キューバ


 雪景色のミラノを飛び出し行って来ました、カリブ海の島キューバへ!
”指導とか言って、本当は適当に遊んできたのでは?”
なんて、皆さん思ってるでしょ?
 正直な所、私だってたまにはビーチでのんびりと、羽を伸ばすのも悪くない、と少しは浮かれていましたよ。
ところがところが、海など通りすがりに見たっきり、現実はそんなに甘くは無かった!
 まあ、聞いて下さい。
 社会主義国キューバに囲碁協会が誕生したのは8年前。
首都ハバナを中心に、現在数人の初段を最強に囲碁人口は千人弱ほど、7割が子供達や青年層でしょうか。
今回は今年で4回目になる新年ハバナ大会を始めに、地方4つの州の学校や囲碁クラブを指導に回りました。 
 この国は面積にして日本の本州とほぼ同じ、それを14州に分け行政が行われており、囲碁もその州ごとに活動が奨められています。
盛んな州では週3回小学校の正規授業で囲碁を指導していて、それぞれに囲碁の先生がつき国から給料を貰っているとの事ですから、驚きでしょう?
 学校囲碁指導が始まって2年から数ヵ月との事、今は9路盤対局が中心の子供達ですが、今後国を上げて応援を得るようになれば中国のように大発展する可能性も大。未知数の将来性を感じました。
 しかし何と言っても一番の驚きはキューバの生活です!
まずこの国では外国人用米ドル価格、地元キューバ人にはペソ価格と2つの通貨と価格があります。銀行で両替した場合、外国人は1$=1ペソ、キューバ人は1$=20ペソになります。つまり20倍差を付ける事によって、内外価格差を公平にしようと言う事だそうです。
 でも現実は生鮮食料品や交通費、医療品、と言う限られた品目以外はすべてドル価格なので、月給平均15$のキューバの人達の生活は大変です。
物資不足もさる事ながら、物があっても高価で手がでないのですから。
 価格が違うのは物だけでなくタクシーも。外国人用の米ドル普通車と、キューバ人用安いペソ払のガタガタ車の2種あり料金が20倍違います。
そのため外国人とキューバ人は法律上、同乗出来ません。
囲碁仲間、友達なのに一緒に行動出来ないんです。
 地元人にはそれでもタクシーは高価、だから一番の交通手段はお金のかからないヒッチハイク!路上は廃棄ガスにまみれながらも何かを待つ人達であふれていました。
 それに何と言っても辛かったのはトイレ!(くさい話ですいません〜でも書かずにはいられないっ)
紙がない、お湯が出ないのは基本です。(国際空港ですら無かった)それに加え水が出ないのが半数以上、ドアがない、電気が付かない(電球自体がない)ナイナイ尽しのくせにチィプ係のおばさんはしっかり見張ってるのですから、頭にきます。 
 ハバナではキューバ人宅にお世話になりました。この家族は相父母(うちの両親より若い)を家長に息子家族、18才の双子孫、親戚多数が周辺に住んでいる大家族でした。
中流家庭と思われるこの家にはテレビ(キューバのテレビは国営2局だけ)電話、洗濯機もあって、清潔なお宅でした。でもやっぱりトイレットペーパーは無かった、、、 
いえ、厳密にはそうではなくイエローページ(なぜかアメリカ版)がありました。とりあえず手持ちで済ませ別段気にせずいましたが、翌日私の部屋に置かれてあった新品のトイレットペーパーを見たら、急に悲しくなりました。
彼等はどんな思いでこれを買ったのでしょうか。家族の暖かさや家庭料理をご馳走になり楽しかった反面、複雑な心境でもありました。
汗の分だけ涙もたまった、考えさせられる事多し旅でした。これにこりずに次回は山ほどのティシュを持参して、再びおじゃましたいと思っています。