圧倒的なチェス人口


 コングレスや碁キャンプと、毎年夏はいろいろなタイプの碁イベントがヨーロッパ各地で催され賑わいます。

特徴としては長期開催もの(一週間〜2週間)バカンスを兼ねて家族で楽しめる企画が多く、日本の碁セミナーのように朝から晩まで予定がばっちり決まっている、と言うのは少ないですね。大いに自由でいい加減?個人個人で楽しみを見つける、基本はマイペースでしょうか。尤もそうでも無ければ、長期のイベントは主催者も参加者も息が詰まってしまうでしょうけど。


 今夏の締めくくりと言うべき大会、マインドスポーツオリンピック(MSO)が8月中旬から10日間、ロンドンで開かれ行ってきました。今年で4年目を迎えるこの大会、その名の如く頭脳ゲームの祭典です。

チェスはじめとする伝統競技から囲碁や将棋といった東洋もの、アフリカ4千年の歴史を誇るオワラ、目新らしい新種ゲーム、コンピューターソフト部門等など、一同にかき集められ何と120種目!また初心者プロに関係なく誰でも参加OKで、殆どの種目で賞金が出るのも独特です。

囲碁の部は早碁、ペア碁、9&13路盤、メインのオープン戦、子供大会、すべて賞金付です。ちなみにオープン戦ですと3日間で6局対戦し優勝賞金は2千ポンド、35万円程でしょうか?

海外ではどんな大会でも賞金制ですが、その中でもトップクラスの金額です。ヨーロッパ強豪アマにとっては悪くない話、つまり入賞さえすれば交通費や宿泊代をかけてもプラスですから、それ目当てに他国から駆けつける人達もちらほらいる訳ですね。

面白い事に高額賞金と参加者増とは、一概に比例しない様です。
地元BGA(ブリチィシュ、ゴ、アソシエーション)企画の大会には百人近く集まるのが普通ですが、この大会では38人とわずかです。実際賞金云々はトップ数人に限られた話で、大多数の人は関心がないのが本音でしょうか。
やっぱり大切なのはお金じゃなくて、、、?と、思えばこの寂しい数字にも何となくほっとする気もします。



 何といってもこのイベントを沸かせたのは中国、桂林から招待参加の天才少年Liao Xingwen君6才でしょう。

5才で囲碁を覚え今は3段、との事でしたが一局毎に目に見えて強くなっていくのですからね、大人達は堪りません!まあそれだけならプロの世界では時々聞く話ですが、彼の場合、5才から囲碁修行のため内弟子に。それも自分で志願して両親や先生の反対を押し切った、と言うのですからちょっとすごい。

5才の子が囲碁を毎日打ちたいがために、両親の元を離れる、、、私自身12才から20過ぎまで、内弟子生活を経験した身ですが、とても想像付きません。ただ者ではない感じです。

 今回は少年の先生Mrs.Liu2段と一緒に来英、連日連夜の取材攻めにも元気いっぱいでした。将来の目標は?の質問に、『プロになる』はっきりと。

なんで碁が好きなの? 『好きだから』

なんで? 『なんで?ってなんで?』


 今回、私自身のメインイベントは週末の子供大会です。たまたま同日にチェスの子供大会もあったのですが、一体何人参加したと思いますか?

囲碁は12人、チェスはなんと900人!それに両親、兄弟姉妹引き連れた応援団で会場は熱気むんむん溢れんばかり。

チェスは5才から各年齢別男女別で大会があり、それぞれのクラスで表彰されていました。中には哺乳瓶を加えて対戦している女の子もいたりして、あまりの迫力に目まいが、、、いえいえ、カルチャーショックだったのかもしれません。

 来世紀中には碁こそこんな風になる、するんだぞお〜!BGAの仲間達と熱く闘志を燃やしたのでした。