ユニークな大会


 
 この時期恒例、世界アマ大会が今年も仙台で開催されます。
この原稿が皆さんのお手元に届く頃は、その熱戦の最中かもしれません。

 今年はモロッコが新しく加わり、世界57カ国から選手が集まります。私も毎年この大会お手伝い兼、勉強の機会に帰国しています、、な〜んて言うのは建て前で、まあ何事にも理由が必要でしょう?
 世界57カ国に碁が広がった、と一口で言っても『日本の囲碁』つまり私達の思っている、知っている日本の囲碁が57カ国で楽しまれている、のとは違います。

 極端に言えば57カ国それぞれが独自の流儀で碁を楽しんでいるのですから、57通りの楽しみ方があり日本はその一つでしか無い、と言う事ですね。
広がれば広がる程に独自の文化と交ざりアレンジされ、自国流になっていくのは囲碁に限った話で無く、普及が進む上で必然の事ではないでしょうか。
 つまり日本で美味しいと思って食べている中華料理はあくまでも日本風中華料理であり、本場のものとは大きく違う、と似たような話です。

 『日本の囲碁』そのままを海外で根付かせるのは無理にしても、日本の囲碁の素晴しさや特色を伝える事は大切です。またこういった各国風それぞれの碁を日本の皆さんに紹介し、新しい楽しみ方を知って頂くのも大切な事で良いものはいろいろな世界に伝え、更に広がるようなお手伝いが出来たらと思っています。
 さて理屈っぽい話はこの辺にして、実際どんな違いがあるのでしょうか。

 まず私が最初に感じたのは海外では碁はゲームである、と言う事です。
当り前な話と思いでしょうが、例えば外国人と対戦した際相手が形勢必負にも関わらず投げない、マナーが悪い、そのうちに逆転されて頭にきた、なんて話を時々聞きます。要は途中で百目負けてても最後に50目負けまで追い込めば、こちらの人は「50目も挽回した、嬉しい」のです。

 カードゲームや麻雀で、いくら負けても途中で投げる人はいませんよね?こちらでは碁もそれと同じなのです。

 ゲーム性が強いせいか楽しみ方も日本人の私には想像出来ないようなユニークで、時としてギョットするような?ものを数々見ました。


   
オランダ、お箸囲碁大会のシーン

 先週出かけたオランダの子供大会では、入門クラス向けに『お箸囲碁大会』なるものが企画され子供達に大ウケでした。手を使わず箸で石をつまみ対局する、と言うルールですがこれが滑って滑って思った所にとても石が行きません。

私も9路盤で練習対局しましたが、子供相手に難無く大敗!ちなみにその日の参加賞はその箸&茶碗でした)

 『ビール飲み切り大会』これも凄まじかったですね。昨年夏のヨーロッパ碁コングレスで見たのですが、対局毎に大ジョッキを飲み干さなくてはいけません。残すと反則負け、30分秒読み無しです。
しかも2晩続きの大会で、参加者の多さに驚きました。

 囲碁グッズいろいろに凝るのも、こちら流でしょうか。
クラブ毎でロゴ入グッズを作り皆で揃えたり、毎年のコングレスには各国囲碁協会が工夫を凝らした碁Tシャツ、マグカップや帽子、ステッカー等が売り出され人気です。           

 BGA(英国囲碁協会)作成の4棋士ポストカード(岩本、呉、坂田、小林光一各先生)
これ最初に見つけた時はびっくりでした、だって囲碁本買った人に付けてる”おまけ”って言われて。非売品で売れないそうですが、本よりおまけの方が欲しい!と思うのは私だけでしょうか、、、  

 実は私、碁Tシャツコレクターなんですよ。20枚程のをとっかえひっかえ、着て歩くのが趣味になりました。そうすると結構(ナンパじゃなくて)町で声掛けられますよ。面白いでしょ?

 囲碁が世界に広がった今、海外から学べきものが多くあるのではないでしょうか。


BGA作成の4棋士ポストカード

ドイツ、キール碁クラブの碁Tシャツ、
石の表情に注目!
 
アメリカ、デンバー碁クラブの碁Tシャツ、
なぜかパウロ2世が碁を打ってる絵柄