囲碁の楽しさを異国の人に |
3年前ヨーロッパに来た当初は、とにかくいろんな国や地域に出かけ多面打や解説をしました。今までで20ヵ国余り150ヵ所程廻ったと思います。数が多いので正確には思い出せませんが、、、、 殆どが無料指導、旅費も自分持ちで宿泊や食事は地元の人達で負担する、というケースが普通でした。皆さんは驚かれるでしょうが、日本棋院の海外棋士派遣は今日まで無料で指導を続けています。 日本での指導料はかなり高額だと思うのですが、それが海外に出て無料で指導すると普及と言われています。なんだかおかしな話だと思いません?海外で(アジア、アメリカを除いて)プロ棋士に指導料を払う習慣が無いのも、一つにはこの棋士派遣の影響によるものだと私は思います。 一番の問題点は普及を受ける側とする側の意識の違いです。棋士は普及と思いしている事が、地元の人達からすれば「観光旅行のついでに囲碁を楽しみに来た人達」と、とられているのです。囲碁に限らずプロに指導を受ければ有料なのが常識です。それが無料で行われる場合、これは仕事ではなく「個人の楽しみでしている」と思うのがこちらの常識で、「普及を受けている」と思う人はいない、または極々わずかでしょう。 この受けとめ方の違いをどう思われますか? けっして金銭を問題にしてるのではありません、心の問題です。だからこそ両者の間にいる私は悲しくなります。 私自身最初の2年は無料で指導を続けていました。今、現在の私にはとても出来ない事ですが、お陰で多くの人と出会い、新しい信頼関係ができた今、ようやく自分の願う活動を始められ、言いたい事も聞いてもらえるようになりました。何事も急には変えられませんから、これはこれで必要な経験であったと思っています。 さて前置きが長くなりましたが、昨年から子供達への指導を中心に活動しています。「普及」と言ってもその手段はいろいろです。 例えば囲碁クラブの経営者は囲碁で生活し、また普及も兼ねていますよね。私が大会に顔を出す事で新聞記者が取材に来る、私が特別なのではなく、こちらでは囲碁そのものが珍しくそのプロですから。これも宣伝、活性化という普及の一部でしょうか。 そんな中で基本は何と言っても、囲碁を知らない人に知ってもらう事と思います。特に夢がいっぱいの子供達に、囲碁を知る機会をあげたいです。 極端な話、囲碁でなくとも日本文化やアジア、世界観を感じてくれる事でも良いと思っています。子供達に何か伝えたい、これって誰もが自然に思う事でしょう?まあ普及と言うより、自分が好きだからやっているんですね。 子供囲碁指導には子供に囲碁を教えたい、と思っている地元の人達と私とで一緒に学校へ行く事にしています。海外の学校は日本と比べてずっ〜とオープンでしょう。 正規の授業を囲碁に振り替えてくれるので、たくさんの子供達と会えます。もちろんすべての学校が囲碁を受け入れてくれる訳では無く、ひとえに地元の人達の努力で学校側が動いてくれるのです。 子供達に囲碁を紹介するのも大事ですが、一番の目的は地元の方々に指導法を見てもらう事です。多くの場合その後、学校内に囲碁クラブができて地元の方々が指導に通うようなる、、、、と、言うのが私達の筋書です。 授業は私が英語でしゃべり、それを地元の方が自国の言葉に通訳して進めます。 一度の囲碁授業ですべて分かりませんし、段階によって指導方法も違うでしょう。結局は地元の方々自身が実際指導する中、試行錯誤しながら見付け出す事になります。 失敗もあるでしょうが、こうして囲碁クラブが学校内に出来て指導が始まる事自体に素晴しい意味があると思います。 こうした活動を続けられるのも世界各地に子供達に囲碁を教えたい、と願う人々がいるからです。そうした人達が本当に囲碁普及をしているのです。彼等にどんな応援が出来るか、これが私の課題です。 近況報告 2年ぶりに訪れた南ドイツの小学校で、前回指導した子供達と嬉しい再会をしました。 現在10人程が週1回、囲碁クラブに集り強い子は7級。みんな覚えていてくれて大感激! もう、母の気分です。 写真はその学校のものです。 子供達の笑顔がたまりません! |
|