ネット対局「幽玄の間」で行われているプロの研究会、『プロ棋士ランキング戦』。この研究会を主宰しているのが、柳時熏九段と梅沢由香里五段である。60名を越える棋士への連絡、リーグ分け、さらにはリーグ戦を盛り上げるためのアイディアなど、幹事2人で試行錯誤しながら運営してきた。 2005年12月26日、第2回のランキング戦終了の総括と第3回目の抱負を兼ねて、「プロ棋士ランキング戦納会・柳時熏&梅沢由香里トークライブ」として、幽玄の間で本音を語ってもらった。 |
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「いろいろなことを試しながらいい形を作っていきたい」 梅沢由香里 : 皆さんこんばんは^^ 柳先生、今パソコンと戦っているはず!柳先生、渋滞に巻き込まれ、必死にパソコンにたどり着き、い ま、これができるように頑張ってます! (※注:この日、柳時熏九段は外出しており、渋滞に巻き込まれてトークライブの時間までに自宅にたどり着けず、途中下車してマンガ喫茶から接続されました) 柳時熏 : みなさん、久しぶりです。いま漫画喫茶でつなげています。 茉佳兵衛 : 柳先生ぎりぎりセーフ! 梅沢由香里 : あ、間に合った^^ 梅沢由香里: いま、年末で車こんでるからね 柳時熏 : ふうう(~o~) 梅沢由香里 : 私も今日は渋滞に巻き込まれて15分前にパソコン前に到着・・・ ――では、本日はプロ棋士ランキング戦の納会ということなので、まずランキング戦についての総括をお願い します。 柳時熏 : はい。 お願いします。 梅沢由香里 : あ、ランキング戦の総括ね、まずは私? 柳時熏 : そうですね ゆかり先生から。 梅沢由香里 : ランキング戦は、上のほうが盛り上がり、下のほうが…私のいる下のほうは、なかなか相手がいなか ったりで、工夫も必要ですが、とてもおもしろい試みだったと思います☆ 柳時熏 : なるほど。 梅沢由香里: 今後いかに盛り上げていくか、考えてそして皆さんの意見も聞きたいところです。: では、柳先生、総括を! |
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――第2回幽玄の間プロ棋士ランキング戦は7月12日〜10月28日まで行われました。総対局数は354局。その後入れ 替え戦が6局行われました。 柳時熏 : 354局とは凄いですね^^ 今年の4月からの始まりでしたよね。ゆかりさん 梅沢由香里 : ですね、 柳時熏 : なにしろすべてが初めてのことでしたので色々と不安もありまして、僕的にはかなり色々と考えさせられました。 梅沢由香里 : そうですね、幹事二人でよく話しました。 柳時熏: 棋士達が勉強になって、なおかつアマの皆さんに楽しんでもらえるようにいかに仕向けるか。 梅沢由香里: うんうん。 柳時熏 : でもね。第一回よりも第二回目の時が盛り上がったと思うし、一応いい方向に進んでいてくれているんじゃ ないかと思っています。 梅沢由香里 : うん、そうそう。やってみないとわからないこともあるし、その中から良い形を作っていけばいいかな、 というのが今の思いですね。 柳時熏 : そうそう、 一年間くらいは色々と試しながらやって行きたいと思いますね。 梅沢由香里 : うん。そう だね。 柳時熏 : そして今回までの色々な問題を解決しながら興味深い対局をもっともっと増やしたいと言う思いから来期 は色々な事を変えて行く準備をしています。 梅沢由香里 : そうそう!結構斬新です ――では、それについては、最後にお話いただけますか? 柳時熏 : そうですね。 |
↑写真は幽玄の間の指導碁での 柳九段&梅沢五段 |
こもん : ファンのひとりとして、存分に楽しめる企画だと思いますよ。 茉佳兵衛 : やっていないとさびしいですね 梅沢由香里 : ありがとうございます♪ 柳時熏 : ありがとうこざいます (※このあと、ユーザーからの質問タイム) igoboisp : プロリーグ戦の一番の成果はなんでしょうか。 梅沢由香里 : それは勉強の機会が増えたことが一つあげられると思います。 柳時熏 : 一番の成果と言いますか、東京、名古屋、大阪の若手が一つに繋がる場所を持ったと言うのも凄く大きい と思います。 梅沢由香里 : あと、ファンの方が少し棋士を身近に感じてもらえていたら嬉しい。 igoboisp : ありがとうございました、来期も期待しています^^ K孔明 : 普段どのような勉強をしていますか 梅沢由香里 : ネット碁も勉強の一つです。あと、詰碁とか早碁打ったり、棋譜並べたり… 柳時熏 : そうですね。色々な人と対局できますから。ネット碁は凄くいい勉強場ですね。 梅沢由香里 : うんうん。 KAZUY 1段: 何歳でプロ棋士になりましたか? 梅沢由香里 : プロになったのは22歳のとき。これはかなり遅いです。才能のある人は大体中学生くらいでプロになるかな。 柳時熏 : 僕は15歳で入段です。ゆかりさんは大学でしっかり勉強されてからプロになられましたので、今、しっかりした社会人です^^; KAZUY : プロになろうと思ったのは何でですか? 柳時熏 : プロになろうと思ったのは、囲碁というゲ-ムが好きになって、やっているうちに、自分に一番向いているかなと思いまして。 梅沢由香里 : 私は、囲碁をやっているときが一番興奮するんだな、ということに気が付いたから、かな。 柳時熏 : そうそう! |
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都筑天河 : お二方が考える、「絵になる」「映える」「微笑ましい」「思わず写真に収めたくなる」シチュエーション…と は、一体どのようなものですか? 柳時熏 : かなり難しい質問がきましたね^^ 梅沢由香里 : あ、写真? 難しい質問だな、 柳時熏 : 絵になるね...あんまり写真は撮ったことはないんですよね 梅沢由香里 : 私も携帯でとるくらいだなぁ。でも必死に対局している姿とかって結構魅力的ですよね 柳時熏 : 確かに 都筑天河 : 自分的には、お昼休み、囲碁カフェで、コーヒーを飲みながら、友達とミニ碁盤で1局…とか。 梅沢由香里 : そうですね。何かを意識せずに没頭している様子っていいなと思います。 shinichi12 : 好きな棋士は誰ですか? 柳時熏 : 好きな棋士ですね。イチャンホかな^^ 梅沢由香里 : 私は加藤先生。 |
↑対局中の柳九段 |
「日本の碁は貧弱化している」 K 池内 : 中国・韓国との碁の違いは感じますか? 柳時熏 : 僕が正直に申し上げたいところ、日本の碁は貧弱化しています。色々な問題があると思いますが、碁の勝負に関する厳しさが全然違いますね。 梅沢由香里 : なるほど… 柳時熏 : 僕は今回の世界オ-プン戦もたまに見ていますが、いまのままでは大変だな...と。日本の方たちは凄く潔いですよね。 梅沢由香里: それは投げっぷりが良いということ? 柳時熏 : 投げっぷりがいいとかそれが褒められたりする社会、 梅沢由香里 : ちょっとかっこつけちゃうのかな、、あとは、 勝負に貪欲じゃないのかな、、、 柳時熏 : はい。僕はそれが悪いこととは思いませんが、碁を芸術として捉えるとそれは素晴らしいのですが… 梅沢由香里 : うん… 柳時熏 : 勝負事として捉えた場合… 梅沢由香里 : もしかすると囲碁が「文化」というカテゴリーにあるのが、ひょっとするとそれをあらわしているかもしれない。。 柳時熏 : はい。でも僕がこれを言っているのは自分自身に対して言っている言葉でもありますし。 梅沢由香里 : ていうか、私もです… 柳時熏 : 日本全体でも言えている事だと思います。 梅沢由香里 : でも前よりみんな危機感はあるような気がするんだけど… 柳時熏 : ここでチャットでは正しく伝えきれない部分が多すぎるので… 梅沢由香里 : そうね、テーマが重要すぎるね 柳時熏 : 難しいですね。 梅沢由香里 : うん、チャットでこのテーマについて言いたいことを語るのは難しい気がします。 都筑天河 : 一朝一夕に解決する問題ではないみたいですしね… みずる : そうですね。でも、言わんとしている事は何となく伝わりますね shitsu : 分かる気がします。 |
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こもん : じゃあ、根本的質問ですが、お二人にとって、囲碁の魅力とはなんですか? 柳時熏 : 僕から?^^ 梅沢由香里 : 囲碁の魅力ね。実は語る場所によって微妙に違ったことを言っていたりしますが、基本的には単に「面白い」!それに尽きます。。側面的なことをいうこともありますが…それはその場を考えて、のことであり。 司会 : 柳先生はいかがですか? 柳時熏 : はい。碁の良さとは一局終えて石を片つけるとまたまた始めに戻れるというそういうのもあるような気がし ます。永遠に上達し続けられる 梅沢由香里 : なるほど ぽぽん : 僕達も18歳以下4段以上の大会を同じような形で開いておりますが、盛り上がらないような気がします。 体験者としてどうすれば盛り上がるか教えてください。 柳時熏 : はい 梅沢由香里 : はい。それはやはり、相手が見つからないということがよくあったことかな。 柳時熏 : そうですね。 梅沢由香里 : それと初めての試みだから、連絡を私たち幹事で行ったりしていたので、 柳時熏 : みんなにとって都合いい時間帯は違いますから。 梅沢由香里 : うんうん。そうなんだよね。あと、最初の頃ヤフーグループとか登録しちゃえば良かったんだけど、携 帯電話のアドレスの人にはだめかなぁ、と。 柳時熏 : そうそう。始めのころ苦労したよね。 梅沢由香里 : しょうもないことで手間取ってしまった^^; 柳時熏 : 一日かけてみんなにメ-ル送ったりして。 梅沢由香里 : そうそう、ほんと、単純なことだったんだけどね。一通のメールを皆に送ることが一仕事だった^^ 柳時熏 : 60人も居るとね。 |
↑対局中の梅沢五段 |
「対局したくても、打てなかった棋士も…」 桔梗之介 : それにしても1度も対局されていない先生がおられますよ 梅沢由香里 : あ〜それは時間帯が会わなかったというケースもあるんです。 柳時熏 : はい。そういう人に対して幹事がどういう対応をするか難しいですね。 ぽぽん : 燃えてないような気がします。みんなが「やったるで!」みたいな気分になるようなやり方は・・・? 梅沢由香里 : でもね、それなりに燃えてますよやっぱり。 ――参加の意思を表明したけれど、事情で対局できなかった方もいたようです。 柳時熏 : はい 梅沢由香里 : 負けるとネットでもめっちゃ悔しいしね 柳時熏 : パソコンが壊れたというそういう方が何人か居ました。 梅沢由香里 : そう、パソコン苦手な棋士も多くて。 ――少なくとも、参加された方は、打つ意思があった方ばかりです。 黒衣子 : 子供を寝かさなきゃいけない時間帯に燃えて対局するわけにもいかない 柳時熏 : そうですね。 梅沢由香里 : そう、特に女流棋士は難しい。 柳時熏 : はい。 柳時熏 : 僕の場合打たなかった人には直接電話してみたりもしていたけど、 梅沢由香里 : 私も夕飯時だと、必死の思いで支度して、食べて片付けて、さぁうつぞみたいな 柳時熏 : 打ちたいのに打てない人と初めからやる気がない人と 梅沢由香里 : うんうん。そうね 柳時熏 : 色々でしたね^^ 梅沢由香里 : うん。あとね、夜に打つと頭が興奮しすぎて、眠れなくなったことがあった 「囲碁界の未来のために」 よしぼん : 『これからの囲碁界の未来について』先生方はどのように思っていますか? 梅沢由香里 : これからの囲碁界の未来ね。やることがいろいろあると思います。 柳時熏 : そうですね。 梅沢由香里 : 普及活動、そして日本プロ囲碁界が強くなること、 柳時熏 : 今ところゆかりさんが凄く頑張ってくれているので^^ 梅沢由香里 : いや、ほめすぎ 柳時熏 : 囲碁を広めるために、色々とイベントを考えてくれたりね 梅沢由香里 : う〜〜ん、でもね、ほんと、どうしたらいいのか、わからない部分もあるんだけれど、 柳時熏 : ほめてあげてくださいね^^ 梅沢由香里 : 伝えること、そしてわかりやすく覚える方法を考える、個人的にはこのミッションをしっかりやりたい、と 思っています。あれもこれも、はなかなか難しいからね!ありがとう☆ 梅沢由香里 : 柳先生は、次世代を育てることをすごく頑張ってくれてます!本当に、すごい力を入れてくれているので、ひそかに感謝しているよ。 ――では最後に、次回のランキング戦についてお話いただけますか? 柳時熏 : はい。次回からはプロではない方も参加されて同格に戦います。 梅沢由香里 : そうなんです! 柳時熏 : アマのトップの方を招いて、そして今までの反省で、下のクラスは人数をもっと増やして対局をいっぱい出来る 環境を作ろうと思い、リ-グを3つに分けました。CとDクラスを一緒にして30名近いリ-グ戦になります。 ――第3回はいつ頃始まる予定でしょうか? 梅沢由香里 : 年が明けて少ししたら、かな 柳時熏 : そうですね。 柳時熏 : そして、これは今のところ未定ですが院生の参加も考えて動いているところです。 梅沢由香里 : ふふ、結構斬新でしょ ――すごいですね。では来年の初めから、また熱戦が見られるということですね^^ 柳時熏 : アマの招待選手超大物ですので期待してください^^ 梅沢由香里 : ほんと、大物です私もばっちりやられたことあります。 柳時熏 : そして関西棋院からもかなりの強い方がさらに参戦してきます。 梅沢由香里 : そうそう!まじで強いかたです!ふふふ、楽しみにしていてください♪ 柳時熏 : なので日本全国、色々な分野の腕自慢を集めて、Cリ-グは30人で、上がれるのは5人くらいの熾烈な争いとなります。 ――では第3回はさらにバージョンアップしたリーグ戦となるんですね。 柳時熏 : はい 梅沢由香里 : はい♪でも、リーグ表が画面におさまるかが心配^^; ――ではそろそろ、梅沢由香里五段より皆様にお別れのごあいさつをさせていただきます。 梅沢由香里 : 今日はたくさんお答えしたいメッセージがあったのですが、全てに答えきれずすみませんでした。 本当に嬉しいお言葉もあったのですがここで改めて皆様に感謝です。いつもありがとうございますこれからも幽玄 の間をよろしくお願いします♪ (※ここで梅沢由香里五段が退出、その後柳時熏九段による指導碁が行われた) ――では最後に柳時熏九段から今後の抱負をお願いします。 柳時熏 : 今年は結構色んな棋戦の本選に入っていい所までも行ったのですが、結構急所でやられましてタイトル戦に出で行くことは出来ませんでした。ただ今年は幽玄の間のランキング戦も企画でき、色々な意味で楽しい一年でした。これからもよろしくお願いします。 |
Presented by “ネット対局幽玄の間” |