ユーロ


 
 2002年が明けて早2ヶ月、このところの話題と言えばなんと言っても新しい通貨、Euroの登場であろう。欧州10ヵ国を共通の通貨で統合しまったのだから、大胆不敵かつ斬新なアイデアだ。

 もっとも通貨に限らない。
法律や交通ルール、と言ったまとまり易い分野から順々に、 各国の枠組を超え一つに統一されつつある。
以前は鉄のカーテンのごとく存在した国境検問所も、年程前から無くなった。今では国境を示す標識だけがポツン、と道路脇に寂し気にあるだけだ。またEuro国籍であれば、身分証名書だけでEuro内を移動出来るようになった。パスポートはもう要らない。
過去の戦争や略奪、流血等のすべてを忘れてドイツ人もフランス人もスペイン人もイタリア人も、みんなが一つになろうという。
”21世紀と共に我々も新しい時代を迎えた”などと、いかにも尤もらしい事を言って、結局は経済のため、お金のためだろーがー、と当初否定的だった私だが、今は悪くもないかも、と思い改めている。

 何しろ欧州内両替の必要が無く共通の通貨で自由に移動出来るとは、旅行者にとって、私にとってこんなに便利な事はない。
一般生活にしても変換当初の確かに大変だったが、それもしばらくの事。今となっては昔のやたらゼロの多かったイタリア通貨が懐かしく感じる程、、、慣れとは恐ろしい。

 ちなみに1Euroはイタリア通貨で1936リラ、日本円では115円くらい。
いずれ一緒になるものならばスタートは早い方が良い。
そのための共通材料として、必要かつ単純、何より手っとり早いのが通貨だ。
これが言語、文化、はたまた宗教、となった暁にはまとまるものもまとまらず、新たな戦いにすらなりかねない。
そうした意味では、まずまずの一手ではないだろうか。
 通貨統一後、初めての囲碁指導旅行に南ドイツ、ミュンヘン郊外にあるエーヂング市とインゴシュタッド市の2か所に出かけた。        
地元囲碁愛好家の人と共にギムナジウムでの囲碁指導+日本文化の紹介をメインに、週末には囲碁大会、夜は地元の囲碁クラブで指導する。
(ギムナジウム)
 ギムナジウムは日本で言うところの小学5年生から大学一年生、19才までが通う一貫システムの学校。他の就学システムもあるが、大学に進む為にはここを卒業しなくてはいけない。
毎年、この学校の5年生10才の子供達に囲碁指導をするようになって4年。校長先生の大変な理解もあって、今では校内行事の一つになっている。今年は8クラスを3日間に分け、地元の囲碁指導者カールと一緒に廻った。

 子供達との囲碁授業は、いつでもどこの国でもメチャメチャ楽しい。子供達は異国の文化、ゲームに興味津々、全身でぶつかってくる。そのエネルギーを吸い取って若さをキープするのが、密かな私の狙いでもあるのだ。
 カールとは、私が初めてこの学校に指導に来た時からの付き合い。それ以後、彼は校内に囲碁クラブを作り週一回子供達に囲碁を教えている。
保険会社のトップ営業マンである彼、仕事柄時間の融通が効くにせよ容易な話しではないはずだ。
また囲碁用品から諸経費、すべては彼の私費によるもの。
協力者はいるにせよ、殆どが個人の尽力につきる。これは欧州のどの国、どの地域でも言える現状である。
(カール氏)
 さてさて、今回の旅で意外にもあちこちで交換をせがまれ、人気を集めたのがイタリアンEuro硬貨。各国共通の紙幣と違い硬貨の場合は片面共通、もう片面は国ごと単位通貨ごとでデザインが異なり見た目に楽しい。
 イタリアはダンテの横顔やダ、ビンチが起用されていて芸術的。いかにもイタリアらしく、個人的にもなかなかイケてると思う。

 ドイツの場合、1Euroも2Euroも共に昔のマルクと同じデザインの、鷹のマーク。
よほど確認しないとうっかり見間違えそうなのは、私だけだろうか。
経済性か、伝統を重んじるのか、または混乱を防ぐためか?こんな所にも、国民性を垣間見る思いである。
Euroのスタートで私の活動もずいぶんと楽になった今、次なる望みは、再びの円高を祈るばかりである。