チェコの囲碁合宿


 とんでもない事が起きるもので、あの騒動以来すっかりテレビ漬けです。チャンネルを切り替えては一晩中かじりついているせいで、すっかり寝不足に。こんな人が世界中で増えている事でしょう。と、言ってもミラノ、少なくとも私の周りは特別変化もないごくいつもの毎日です。

しかしそれも考えてみれば私が日本人で、イタリア人と結婚しているからでしょう。
同じ外国人でも、アラブ人やイスラム系の人達は大変みたいです。やたら尋問を受けたり、子供が学校でいじめにあった、なんてニュースを耳にしますから。
戦争や殺しあいは盤の上だけにして欲しいものです。
 今月はチェコの囲碁合宿の様子をお届けします。
チェコ囲碁協会のメンバーは全体で200人程ですが、若い世代が多く子供達への囲碁指導も熱心、隔週ごとに大会やイベントを催しています。
また段位者も大勢いればそれに負けない数の入門者もいて、小粒ながらバランス良く、まとまりも良い。ちょっとオーバーな表現かもしれませんが囲碁を通した家族のような、そんな雰囲気があります。
 この数年来、チェコでは夏休みを利用して子供からお年寄りまで、家族誰もが参加できるタイプの合宿を開いています。今回はプラハから車で東南に4時間程、モラビア地方の高原で一週間に渡り開かれ、80人余りが集りました。
参加者中30人程が子供達、学生を含めて7割を占め、引率者や大人の参加は2割ぐらいと、なんとも賑やかで元気なイベントです。
 参加者を年令+レベルにより5クラスに分け、大会や解説会、指導碁等を主に、午前午後夕方と時間を区切り予定がみっちり組み込まれ、講師役は地元の強剛選手達と私。  
代わる代わるに全クラスを指導に回るのです。
そんなこんなでしたから、あまり暇な時間もなく、そうですね、食後みんなでワイン片手にゲームしたくらいでしょうか。
これだけ熱心なのはありがたい限りです、付き合う方にも努力とコツが必要なのは別としても。想像以上に充実した内容に、大変失礼ながら以外な印象を受けました。
 最年少は5.6才。英語はもちろんの事、チェコ語もまだ怪し気な年頃です。説明のしように一瞬困りました。結局、終局時には紙に数字で地合を書き子供に見せた所、何となく納得してくれました。
たぶん、足し算引き算や数字の事は分からなくとも、盤上の白黒石のバランスで勝負が分かるのでしょう。
 さて、この合宿の参加費用ですが一体いくらだと思いますか?たぶん想像も付かない事でしょうねえ、驚くなかれ一泊3食付き800円弱!地元チェコ人でも驚く安さです。
また子供達は無料、学生は半額などの援助があり、誰もが参加できる理由もこの辺にあるのでしょう。
当然ながら食事の内容や快適さ、多少の不便さに関しては目をつぶる必要がありますが、とにかく一見の価値はあると思います。
 ここでちょっと聞きかじったチェコについてのお話を。
チェコは大きく2つ、モラビア地方とボヘミア地方に分かれ、歴史背景も風土、習慣などまるで違うようです。そういえばチェコは共和国でしたっけ。首都のプラハはボヘミアの中心でもあります。ちなみにモラビアはワインが名産、ボヘミアはあのピルセンで有名なビールが主流だそう。
最近はビザの必要もなくなり、より身近になったチェコ。
来春には欧州で一番大きな子供大会がプラハで開催される予定で、それに向け子供達も世話役の方々も盛り上がっていました。それでは、また。