パリ大会



 なんでミラノに?こう良く聞かれます。一番の理由は信頼出来るイタリア人家族がいて、安心して住める場所があった事ですが、他にもいろいろな条件が合いました。

*大都市や囲碁先進国でない(しがらみのない、自由に囲碁活動ができる地域)
*それでいて安全で普通に生活出来る所(ジャングルやビザの必要な国はちょっと、、)
*物価の安い国(欧州内ではイタリアはスペインと並ぶ、物価指数の低い国)この他にもう一つ、移動に便利な所と言うもの大きなポイントですね。

 もちろん今の時代、空路でしたら簡単に何処にでも移動出来ますが経費が嵩みます。その点列車は経済的で安心、ミラノから欧州各主要都市のパリ、プラハ、ウイーン、アムステルダム、バルセロナ等など夜行列車で一晩で行けます。運賃は距離と経由国によりけりですが、片道一万円も出せば十分でしょう。

 たいがい一番安い2等車の6人寝台を予約します。一部屋に3段ベッドが2列並び、昼間は客席として使用出来るよう改造されていて寝台料金は千円ちょっと。なかなかのお手軽価格でしょ?
どんな人が同室になるのか全く分らないので、毎回緊張ミステリアスな気分になるのは正直な所ですが、長い旅の間には同室の人達と仲良くなりる事もしばしばです。

 どこから来てどこへ行くのか、から始まって身の上話しや家族の事、日本について、政治論とその時々で話題はいろいろです。
時には鞄の隅からゴソゴソと、携帯9路盤を取り出し簡単な囲碁入門講座をしたりします。暇な道中退屈しのぎに大概は歓ばれ、こちらも自然に囲碁を宣伝できるチャンス、とまさに一石二鳥です。こんな時の為に、日頃から各囲碁協会のパンフレット等を収集しておくのも肝心です。別れ際にサッと手渡しすれば、少なくとも何かの記憶には残って下さるでしょうから。
パリ大会会場、熱気でムンムンです。

 今月は久々夜行列車でパリ大会に行って来ました。パリの大会はパスクワ(復活祭)祝日にかけた3日間が習わしで、この休みに併せ欧州各地から観光がてら多くの人達が集まります。日本からも小林千寿先生がいらして、大盤解説などされていました。

 参加者は昨年より50人少ない200人程でしたが、週末規模では欧州で一番の大きな大会でしょう。何しろイタリアの大会ですと50人前後が普通なので、ちょっと迫力が違います。もっとも参加人数が多いから良いとか、少ないとダメとか、いう事ではありませんが。
シュトラスブルグから参加の最年少選手(8歳)

 トップグループは東洋人が目立ち、全勝優勝は中国プロ2段のFanさん18才。パリ留学中の彼ですが中国での公式対局もこなす、今は中国=パリを行ったり来たりの状態だそうです。賞金1000ヨーロを獲得、嬉しそうでした。
優勝したFanさん

 囲碁も世界もどんどん広がっていくに併せて、特に国際都市や大都市では東洋人の参加が増え、賞金をさらっていくケースは益々普通になるでしょうね。
最近はセミプロ(賞金+指導で生活する人)と呼ばれる人達も現れ始めていますし、これも一つの流れでしょう。
今回初参加のフランス青年

 帰りの列車ではフランス人老紳士と同室になり、まず囲碁の話になりました。
『囲碁?ワシは知っとる』 自信ありげに第一線升目に石を並べたおじさん、『こうやって挟むと、、』 たぶんはさみ将棋?丁寧に教えてくれました。

このおじさん実は神父さん、ミラノまでの残り数時間は神についての話しを聞かされました。列車の旅では時として布教(普及?)を受ける事もあります。
入門指導も同時開催(国際コンベンションホール・ゲームフェスタ)