サクラ



チューリッヒ囲碁クラブでの指導碁

 早いものでもう4月、ミラノもすっかり春の装いです。
時計も夏時間へ切り替わり、おかげで夜8時を過ぎても明るい毎日です。

 この時期、主役はなんと言っても”さくら”でしょう。
 ここイタリアでは『チィリエッジョ』と呼ばれ、公園や路地などでしばしば見かけ、目を楽しませてくれます。
 でもイタリアでは特にお花見などしないので、さくらと言えども花木の一種でしかなく、誰も見向きもしません。

 私には信じられないスキャンダル!ですが、イタリア人のダンナに言わせると”数々花木がある中で、なんでこれに限って日本人は大騒ぎするのか?”逆に不思議に思うようです。こうした答えに詰まった時には”習慣の違いだもん、いいじゃん”と、言う事にしています。
  
応氏杯欧州子供大会(ポーランド)

 暖かくなると共に冬眠から目覚めたかのごとく、今月はあちらこちらと指導に出かけ何かと忙しく過ごしました。
 今年で6回目を迎える『応氏杯欧州子供大会』でポーランドへ、140人を超える子供達が集まり大賑わいでした。
チューリッヒ大会に呼んで頂いたり、カンヌで開かれた『囲碁指導者セミナー』では初めて指導法について英語で講演をしました。そうそうスイスのルガノでは、テレビ生出演したんですよ。な〜んて書くとすっごくカッコ良く聞こえますが、実は、、、、

毎週水曜日夜、このビルの一階レストランがチューリッヒ囲碁クラブの会場
カンヌでの指導者講習会
講習会の後は、子供達に直接指導する実習編

 スイス、と言ってもイタリアとの国境際にあるルガノは我が家から車で40分くらい。
 この辺りはアルプスの山々に四方を囲まれ、その中に湖が随所に点在する風光明美な観光地です。またスイスで唯一イタリア語を公用語とする州ですので、距離だけでなく気分的にも近い気がします。
もちろんパスポートは必要ですし、通貨も違いますが。

 ここの国営放送局、スイスイタリアテレビが毎日夕飯前にやっている情報番組の中で、チェス&囲碁を取材したい、との話しから地元のクラブに加わっておじゃましたんですよ。何しろここは普段メンバーが3人の過疎囲碁クラブなので、観客席のサクラ集めもひと苦労。この日は家族や友達みなで総動員した次第です。

 確かにメインは私達でした。
が、実際それは20分くらいの話しで後はヨガ、ベジタリアンクッキング、歌謡コーナー、テレホンショッピングにクイズ、お悩み相談、、、次々とコーナーが変わり、最後に再びメインに戻って終局という2時間番組でした。
 で、私は?というとスタジオの中央にチェスと並んでセットされた対局場で、放送中ずっと肴?で打ってました。

私も相手になった方も、突然の話しでそりゃあびっくりしましたよ。何しろ二人共サクラのつもりでしたから普段着のまま、素っピンのまま、それでカメラの前に晒される運命に陥ったのですから。

 美味しいにおいの充満するクッキングの最中も、天井のレインボーライトがぐるぐる映る虹色の盤上を眺めながら、生バンドの演奏するジャズを横目に、それでも黙々と盤に向かって打つんです。これはもう”雨ニモ負ケズ”の気分ですね。

 囲碁とはどんなゲームか、どんな風に展開するのかを実際に見てもらうのが狙いだったのでしょうけれど、視聴者には突然現れた東洋人女性と、よれた作業服姿の中年男性が見た事もない不思議なゲームに夢中になっている、、、
きっと、こんな風に映ったのではないでしょうか。

 本番中、イタリア語で何か質問されたらど〜しよう、と密かにドキドキしましたが何事もなくって良かったです。
ともかく楽しく笑えた、初のテレビ生出演でした。
 やっぱりサクラは見て楽しむのが一番ですね!