結婚



 12月に入ったミラノはすっかりクリスマス色に彩られて、それはそれは華やかです。氷点下近い寒さも何のその、街は活気にあふれ一年で一番にぎやかな季節になりました。

 クリスマスは家族で過ごし、年越しは友達同士で楽しむのがイタリアの習慣です。
日本のように新しい年を祝うしきたりはなく、お休みは元旦の一日だけでやはり主役はクリスマス。

何だか一年の区切りがあって無いみたいで、私には寂しく感じます。四季や風土を愛する日本と宗教が生活の中心にあるイタリア、、、、所変わればいろいろですね。

 ジャジャジャジャーン!
 この場を借りて皆さんにご報告があります。

私事で大変恐縮で、またとっても気恥ずかしいのですが、今年の話は今年の内に、(もったいつけてすいません!)実は私、この夏に結婚をしました。

 皆さんのご想像、ご心配通り?相手はイタリア人で名前はIvan Vigano、ミラノの碁クラブで知り合いました。ちなみに彼はイタリア4級、日本では初段くらいだと思います。

彼は福祉の仕事をしていて、今はアル中の人達が更生&社会復帰を目的とする施設の相談員をしています。
 ワインが水と同じように気軽に飲まれているイタリアではアルコールに対する危機感が薄く、よってアル中患者のパーセンテージはかなり高いのです。

人体への影響だけでなくドラッグや犯罪、家庭崩壊、等と問題は複合的に絡み合っているようで、私などは話を聞くだけでも暗〜く落ち込んでしまう仕事です。

 給料安いのにキツイ仕事でよくやるわ、と思う反面こうした世界に目を向ける彼を尊敬しています。これってノロケかしら?

 そういう訳で我が家ではアルコール=毒、お客さんが来た時は別として殆どお酒は飲みません。(なんてかわいそうな私でしょう、、、。)

 そうそう以前『碁好きのイタリア人は根暗なタイプが多く、碁クラブでナンパされた事は一度もない』と書きましたけど、これって本当の事。

 彼も根暗とは思わないけど、ちょっとシャイで、控えめなタイプです。親しい友人には『あなたより彼の方がずっと日本人らしい』と言われる程ですもの。

え〜っと、だからつまりアタックしたのは私の方なんです。当初、彼は私の迫力にただただ驚いていたように思います。

 結婚式はごくごく簡単に。

 彼の家はカソリックでないので教会には行かず町役場で婚姻式をした後、親戚一同20人程で食事会をして済ませました。ささやかですが彼の親戚から暖かく迎えられ、私には何よりも嬉しい事でした。

 届けを出せばおしまいの日本と違い、イタリアの婚姻はず〜っと慎重でちょっとびっくりしました。

まず申し込んでもその場で受理されません。
『AさんとBさんは結婚します』と、役場の掲示板に2週間程張り出され、苦情がなければそこでようやく日取りを決める事になります。これは重婚や不義な婚姻を避ける為の昔からの習わしだそうで、それが今日まで続いているようです。

 婚姻式は執行人に公証人、私の場合通訳付きで家族の見守る中、夫婦の権利や義務を宣誓しサインをします。

 印象的だったのは式の最後『ようこそイタリアへ』と、イタリアの国旗を手渡された事。日本では外国からの花嫁さんに対し、こんな風に祝福してくれるでしょうか?

更にこの後、日本領事館に婚姻届けを出してようやく終了、国際結婚って本当に面倒なものです。

 元々彼の家族の家に居候の身でしたので、生活自体あまり変わりません。これからも家族の支えを基に、普及活動を続けるつもりです。

 結婚して変わった事と言えば、以前より焦らなくなった事でしょうか。
少し長い目で物事思えるようになったような、、、まあそうでないと続きませんものね、何しろ予定以上に長期滞在になりそうなので。

と言う訳で、来年もあちこち指導に回る予定です。皆さんどうかお楽しみに。

 それでは良いお年を!